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今日は少し,金管セクションを例に
2管編成のオーケストレーションについて考えてみましょう.

ホルンは通常,舞台上に4人います.
1st-2nd,3rd-4thで「プルト」と呼ばれる二人組を作っています.
(古典派では1プルトのみ=2人しかいないこともしばしばです)
1stと3rdが高音〜中音を担当し,
2nd,4thで中〜低音の支えをつくるのが一般的です.

ふつうの2管編成でトランペットは2人います.1stと2ndです.
3管編成では3rdがあって3人に増えます.
さらにマーラーなどの大編成では6-8人くらい並ぶこともありますが,
これは例外と言っていいでしょう.

# もうひとつ,コルネット扱いで2人いることもあります.
# この場合舞台上にはコルネット2,トランペット2で
# 合計4人いることになります.

トロンボーンは1st,2nd,バストロンボーンの3人,
これにテューバ1本が加わって
4人で金管セクションに低音の土台を築いています.

他にアルトホルン,ユーフォニウム,スーザフォンといった
吹奏楽あるいはマーチングバンドで用いられる金管楽器もありますが,
これらは通常のオケの編成には含まれません.

***

ホルンとトロンボーン&テューバは
それぞれ4人おりますから,三和音をそのまま吹かせていいのですが,
注意が必要になるのが(2人しかいない)トランペットです.

たとえばある曲で,
その箇所の和音がドミソ(コードC)だったと仮定します.
ティンパニとトランペットで
「(ぶん)パパパーン,(ぶん)パパパーン」と
掛け合いをしていたとしましょう.

このときティンパニが叩くのは多くの場合,ドかソです.
そしてトランペットが吹くのも,ドかソです.
したがって聴こえる音としては,
「ドっソソソー」「ドっドドドー」あるいは
「ソっドドドー」等になると思います.
(「ドっドドドー,ミっドドドー」のパターンならミは入れられそう)

2ndトランペットは何をしているかといえば,おそらくは
1stの1オクターブ下で強化に回っているか,
二人で5度(ド-ソ)をきっちりつくっているか,どっちかだと思います.
こうしたファンファーレ的な用い方をされる場合にはとりわけそうですが,
第3音である「ミ」は他の楽器に任せがちになります.

古典派からロマン派にかけての
2管編成におけるトランペットの基本的な振る舞いというのは
上記のようなものなのですが
(念のため断っておきますが,もちろん第3音を吹くこともありますよ
 ただしその箇所はホルンかトロンボーンが一緒に吹いているはずですけど),
このことが示しているのは何かというと,

ドミソの3つの音が,等価ではない

ということなのです.

ルート(根音)のドが最も重要で,
5度の響きをきっちり確保するソの音が次に重要です.
第3音にあたるミの音は,この響きを強化しつつ,
色彩を与えているに過ぎません.
(ただし属七和音の場合は,減5度の響きを確保するため
 第3音の価値は上がります)

ですから,オーケストレーションの際にも,
(ソプラノ声部=メロディラインの動きを度外視すれば,ですけど)
あまりたくさんの楽器に第3音を演奏させるようなことはしないのです.
極端な例を引けば,実際のクラシックの曲でも
フルオーケストラが全体でドミソの和音を奏でるなか,
ミを吹いていたのは実はオーボエ1stただ一人だった
ということすら,あるのです.
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おお
すげー勉強になりますね!
音符的(ある意味音符的ですが)アプローチではない、音色的アプローチで同じコードでも印象を変える等もオケならではと思うので、すごく参考になります。
同じコード(コードと言う概念ではない?)でもポップスなどとちがい、回転させるだけでも印象違いますものね。

編成(制約)等を活かしての曲作り等にも繋がっていきますよね。

ただdtmではそれに縛られるとオケシミュレーションなのか迫力だしたいのか等迷いますねー。
上手く基本をおさえて心地の良い音色つくりにはやはりどちらも覚えておかなくては、ですね(笑)
えびす 2007/10/06(Sat)12:15:53 編集
dtmオケのパラドクス
>えべっさん
勉強になりますか,よかったよかった.たまには音楽の話もしないと(笑).

基本は大事ですね.僕なんかには正直,ギターや鍵盤がコード担当ですみたいな発想が,うまく理解できなかったりするんです.

DTMオケはかなり音を抜かないと,ミックスで(ほぼ確実に)失敗しますけど,どの音が残ってないとまずいかという選択の参考程度にはなるんじゃないでしょうか.迫力を出す時には編成を減らす(各楽器の音圧を稼ぎにいく)というのが,DTMオケ最大のパラドクスでしょうね.
三月ウサギ URL 2007/10/06(Sat)17:12:57 編集
勉強になりまんた
そういうことだったのかお…
手元の譜面とかいろいろ確認してみてもトランペット、
Iの和音はたしかに3音がなることが少ないお。
ドヴォルジャークの第9番4楽章で確認したら3音はホルンと一緒のときのみかお…
あとは1度、5度、8度の重なりだけだったお…
和声法でも3音の重複は一つの例外を除いて禁止されてるし
V7は三月ウサギさんの言うように逆に5音の価値が低く
3音の価値が高いお…

つまりこれの意味するところは…ミの音は他の楽器にまかせろお?
ということかお?フュージョンとか聴くと鳴らしまくってるけど
クラシックみたいな大編成では響きが汚くなるのか…
実際にためしてみるお( ^ω^)ソフト音源でためしてみるお。
iwao 2007/10/07(Sun)10:13:54 編集
そこで
ロックですよ。
パワーコード。
えびす 2007/10/07(Sun)15:08:08 編集
厚みの問題
>iwaoさん
和音ひとつをどう扱うかというのも,オケ特有の文法が出て来ちゃうみたいです.もちろん各楽器の<横の流れ>のことはあるんですけど,第3音にあまり厚い編成を割かないようにしておいて,響きを確保してるんですよね.

DTMのオケだと,厚みをつくるために人数をそろえるというより,むしろボリュームを上げればいいということと,あと奏者が勝手に「あ,俺いま3音じゃん!」と自分で気持ちよい響きのところを探して補正するようなことがないので(笑),また別ルールが出てくるかもしれないですね.

>yebisuさん
うごーたしかにパワーコードですね.
ラッパってロックだったんだ!(笑)
知りませんでしたよ〜.
三月ウサギ URL 2007/10/08(Mon)07:10:58 編集
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