♥ 現地レポ，竜王戦（パリ）

突然ですが，いってきました竜王戦．



中央が＜ホテル・メリディアン・エトワール＞
左のビルはパレ・ド・コングレ．


ホテルの前に何の案内も出ていなかったので，
本当にやってるんだろかとちょっと困りましたけど，
入口のポーターさんを無視して高級ホテルへ堂々と侵入．
てきとーに地下への階段を降りて会場に着きました．

ちょっと遅れて着いたので誰もいませんでしたけど，
たぶんここという部屋の扉をおもむろにあけて中に入ります．




＜生まれて初めて見たプロ棋士，佐藤紳哉六段＞


あーやってたやってた（笑）．
大盤解説会を見にいくだなんて，初めてです．
お客さんは30-40人くらいで，日本人とフランス人が半々くらい．

みんなつよい人なんだろうなー．
とか思いつつ，てきとーに真ん中へんの席に座りました．

通訳つきの解説会．
紳哉六段はうわさ通りかなりのイケメンでした．ピカってました．
この局の初手からの動きを振り返りつつ，
角換わり棒銀の基本的な攻め筋の紹介とかを
丁寧になさっていました．

後手（羽生名人）に△４四銀を指させておいて
先手（渡辺竜王）が▲３七銀と引き返すあたりの局面だったと
思います．


15時頃，次の一手クイズが出題されまして，
30分の休憩のあと，立会人で来ていた米長会長が登場．




＜米長かいちょー．オーラがあった＞


うわー，生ヨネナガ！　初めてみたー！（笑）
語り口は軽くなめらかで，手の解説もとてもわかりやすく，
でもフランスのことをずーっと「イギリス」と言い間違えていました．
さすが会長．


次の一手クイズの正解は△６六歩で，
17名の方が将棋世界のおまけの小冊子をもらってました．
僕は奇をてらって△９五歩と書いて外しました（汗）．
でも同じ意見の人が他に２人もいたのでちょっと安心．

米長かいちょーは，
△９五歩は遅い，手抜かれて攻められる．なぜなら
９七に先手の駒が３枚も利いているからだ，という説明を
丁寧にしてくださいました．勉強になります．


余談ですけれど，この大盤解説会，入場は無料で
コーヒーやコーラ，オレンジジュースとペリエが
サービスでついてました．やるなメリディアン．


局面はだんだん終盤へ．
羽生さんがまだ３時間くらい残しているのに，
渡辺竜王は１時間くらいしか残っていないとのこと．
先手有利かと見られていた局面も，だんだんわからなくなってきました．

話題にのぼっていたのは，羽生名人の△８六歩の突き捨て．
米長さんは，これを入れずに単に△６六歩が勝ったのではないかとのこと．
「羽生さんにこの手が見えるかなあ」等のヨネナガ節さくれつで
客席に大ウケでした．

そのあとは，
「岡目八目」など日本の諺の話で通訳のフランス人を困らせていましたが，
ふっと，こんなことを言い出したのです．


「でも，渡辺竜王や羽生名人より強い男がいるんですよ，
　誰だかわかりますか」


客席から，ご自分のことを仰ってるんでしょうとの声に
「いやいやそれは20年前のことであってね」と
超自信家のヨネナガ節を封印する会長．おやっと思ったら，


「それはね，佐藤康光棋王のことですよ」と．


みっくん登場！！！



＜生みっくんが見られるなんて感激＞


思わず「やすみつー！」と叫びそうになりました．

今日は見られるかどうかわからないと
思っていただけに，感激もひとしおです．
ああ，ああ，今日来てよかったよう．
みんな大拍手でした．


みっくんの解説はかなりディープで，さすがトッププロでした．

実戦心理では，△８六歩の突き捨てなしに△６六歩だと
▲６八金とあっさり引いてしまうところだ，その後△８六歩なら
なんとなく▲同歩と取りたくなる．
しかし，先に△８六歩▲同銀が入っていると，
△６六歩には金を引く手と寄る手の二つが発生して
迷わされることになる，

そういう高度なお話をなさいました．
なるほどー，相手にあえて選択肢を与えて考えさせるというのは
羽生さんっぽい指し回しだと思いました．

米長会長が単に△６六歩が勝ると言っていたとの声に
みっくんは「あ，そんなことを仰ってましたか」と．
さすがみっくん．こういうとこも好きです（笑）．


僕は別件で用事があって，このあたりで中座しなくては
ならなかったのですけれど，今日はとても楽しかったです．
個人的には生みっくんが見られて最高でした．


＊＊＊


米長かいちょーは，
この次の一手で勝負が決まる，羽生名人が△７六歩と踏み込めば後手勝ち，
もし△６三銀と引くなら先手勝ち，と予告していましたが，
この竜王戦第１局，その後は△７六歩から，
彼の予告通りの結果になったようでした．




＜圧倒的な存在感を放っていた佐藤康光棋王．鬼を感じた＞