♥ チワワ犬

風邪で寝ていた所為で所用が溜まっており，
今日は銀行に赴いた．
銀行の壁時計が止まっていた点を除けば
特にいつもと変わったことも無く，用事はつつがなく終わった．

その後，メトロ駅前にあるLe F***というカフェに入り，
カフェクレームを頼んだ．
隣の席では黒人の女性が林檎のクレープか何か食べていた．
まるで70年代モードの再来のような出立ちのマダムだった．

彼女が去る時，革の鞄の中から何か飛び出して来たものがあった．
一匹のチワワ犬であった．
それは何か驚くべきことだったような気もするのだが，
不思議とさして大きな印象を僕にもたらさなかった．
僕は彼に一瞥と微笑を投げると，温かなカフェクレームを静かに飲み続けていた．

世界がもし，coolなものとboringなものの二つに分けられるとしたら，
それは明らかに後者に属していた．