♥ ラピュタのDVD（３）

（前回までのあらすじ：）
ラピュタのDVDを一緒に見ようと声をかけられたゴガツ．
一度興味が無いと断った手前軽々しく応じることができない．
そこで彼女の放った手は......．


　三月ウサギ：あれ，五月は？


　天野ゲルググ：今日はどうも気分が優れぬとのことでした


三月：そっか，残念だな

天野：かわりにこの猫さんを連れてきました（ぎゅっ）

黒猫：ナーゴ


　ル・モンテズ：おお好判断ぢゃ．猫殿も見たがっておったからの


三月：じゃ，さっそく始めまーす


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（《文字の塔》五月の居室）



　ゴガツウサギ：ふふふふふ，あはははは！　まさに好判断だわ


（ナレーター：V.シンガー）
解説しよう．ゴガツは黒猫ウルリッヒの首輪に
超小型カメラを仕込み，映像と音声を転送させていたのだ


ゴガツ：これで自室に居ながらにして，誰にも気づかれることなく映画を鑑賞できるというもの．我ながらこの知謀が恐ろしくなるわ......ふっ，どうやら始まったようね

＊＊＊


モン：こいつ！　こいつが黒幕じゃ！　ラストシーンでは

三月：だーっ！　解説いりませんから黙っててくださいー！！（汗）

天野：そうです．私たちはともかく，この猫さんは初めて観るんです...

黒猫：ナー（まったくお嬢も厄介な仕事を押し付けてくれたもんだぜ）

（きゃーーーーー！）

モン：だーはっはっは！　げらげらげら，げらげらげら

三月：今のシーンのどこに笑うとこがあったんですかー！！　まったくもう，フランス人のツボはよくわかりません


＊＊＊


ゴガツ：あまり性能のよいマイクでなくてかえってよかったわ．三人の声を拾いすぎる...．おや？

（三月：パズー，ラッパひそかにめっちゃ上手いんですよねー）

ゴガツ：ぬ，ぬぬう，お兄様の後ろドタマで何も見えぬ．自重してくれー！　あっ，何してるウルリッヒ

（がさごそ）

ゴガツ：いかんッッ，天野の膝の上かッ．真っ暗で何も見えないわ！　猫の＜暖かいところではつい丸くなってしまう＞という習性を忘れていたっ

（黒猫：ナ〜〜（ねむくなってきたぜ））

ゴガツ：何を言い出すのウルリッヒ！　ドーラ一家のオートモビール到着まであとたった５分じゃない！　ここは耐えるのよ！　ああーこちらからの指示が出せないのは失敗だったわ！


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（２時間後）

ゴガツ：嗚呼，結局オープニング周辺しか見られなかった．なんだか熱が......（ふらふら）

（こんこん）

ゴガツ：はい，開いてますわ

天野：失礼します．五月さん？　横になっていなくて大丈夫ですか

ゴガツ：あ，天野さん，その，映画は楽しかったですか

天野：はいとても．ドーラ最強......

ゴガツ：それはよかったわ．それで，このような夜更けに何用です

黒猫：ナーゴ

天野：いえ，部屋に戻るついでに様子を伺いに

ゴガツ：それはありがとう．ウルリッヒも連れてくれたのね．私は大丈夫よ

天野：それから，三月さんがこれを届けるようにと

ゴガツ：あら，何かしらそのFNACの袋は

天野：ラピュタのDVDです，今日五月さんが来られなかったからと......

ゴガツ：（ぶわっ）

天野：ご，五月さん？！

ゴガツ：あ，ありがとう......私疲れてるみたい．もう下がって...よいわ......

天野：......失礼します......，おやすみなさい

（ばたん）

ゴガツ：ああ！　ああ！　私は何と愚かだったというの！　ラピュタが見たかった，ただそれだけなのに素直になれなくて，こそこそと卑怯な手段でお兄様を裏切ろうとさえした．それなのに，それなのにこんなに優しくして下さるなんて，私はもうどうやってお兄様に顔向けしてよいのやら......（さめざめ）．

黒猫：ナーゴ（お嬢...）

ゴガツ：あぁ，この性格が呪わしい．私だってもっと天野さんのように，自分の気持ちにまっすぐな女の子になりたかったのに．ウルリッヒの失敗を責めることはできない．すべての元凶はこの私．そして私を狂わせてしまった，このラピュタのDVDの......

（ぱかっ）

ゴガツ：中身「少林サッカー」じゃねーかよ！！（がびーん）


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三月：あーやべー，中身まちがえたかも（汗）

モン：あいかわらず整理整頓が苦手ぢゃのー


＜完＞