♥ ラピュタのDVD（２）

　三月ウサギ：あれーっ，ない，ない


　ル・モンテズ：どうしたね三月殿


三月：買ったばかりのラピュタのDVDが無いんです．かばんから出した覚えもないのに


　天野ゲルググ：あの，ひょっとしてこれですか...


三月：そ，それだー！！　どこにあったの？

天野：さきほど廊下で...．この猫が持っていました（ぎゅうっ）

黒猫：フーッ！

三月：そいつは確か五月のとこの．これは一体，どういうことだ......？

モン：ふむ，わしが話を聞いてみよう

三月：えっ伯爵，猫語できるんですか

モン：なあに，だてに歳はくっとらんよ．では猫くんよ，にゃ〜ん？

黒猫：......

モン：にゃにゃ〜ん？

黒猫：......

モン：そうかそうか．うむ，「ラピュタが見たい」と言っておるな

三月：まてーい！　明らかに会話成立してなかったじゃないですかー！！

モン：ではやむを得ん，ねこ鍋にしよう

天野：よいお考えです．土鍋を持ってきます......

黒猫：シャギャーッ！

三月：安心しろ黒猫くん，何も食べる訳じゃないんだ，ふふふ...


＊＊＊


　ゴガツウサギ：遅い！　ウルリッヒのやつ，いったい何をしているの


黒猫：ナーゴ

ゴガツ：ウ，ウルリッヒ！　どうしたというのですその姿は

黒猫：ナーゴ（すまねぇ，しくじったぜ）

ゴガツ：なんですって，......お兄様に見つかってしまったというの？

黒猫：ナーゴ（「猫なべ」にすると言って土鍋と一緒にじっと監視されたよ）

ゴガツ：ああ，youtubeで流行っているアレのことね．あなたまさか白状したのではないでしょうね

黒猫：ナーゴ（いや，奴らに俺の言葉はわからねえ．とにかくもうこの件からは手を引かせてもらうぜ）

ゴガツ：しかし，計算外だったわ......

黒猫：ナーゴ（そうそう，明日の夜例のDVDを皆で観るから，お嬢にも来るようにと，三月の旦那から伝言だぜ）

ゴガツ：ふーん．お兄様も気の回る......（ハッ）もしやこれは罠......？


（ナレーター：V.シンガー）
天野に見つかり陰謀は不発に終わる．
もはや誰も信じられなくなっているゴガツ．
そして，三月の本当の意図は......？


（つづく）

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♥ ラピュタのDVD

（《時の塔》三月の居室）

こんこん，ぎいっ


　ゴガツウサギ：お兄様，粗茶ですが


　三月ウサギ：おーさんきゅ


ゴガツ：おや，何ですかそのFNACの包みは

三月：あー『ラピュタ』のDVDだよ．実は相方が見たがっててさー

ゴガツ：義姉様が？

三月：うん，どうやら東南アジア版のラピュタを手に入れたらしいんだが，＜インドラの矢＞周辺のシーンが検閲で丸々カットされていたらしく，ヨーロッパ版でどうなってるか調べるよう指令が下ったのだ

ゴガツ：それでわざわざFNACまで出向いて購入を

三月：日本のアニメで１コーナーできててビビったよ．最近の知らない作品ばっかりだったけどさー．ああそうだ，これよかったら一緒に観る？

ゴガツ：い，いえ私そのような子供向けのアニメーションには興味はございませんので

三月：あれーお前昔ラピュタ喜んで見てたじゃないかー．まあいいや，僕もどーせ週末まで見てる時間ないと思うけど


＊＊＊＊


（その夜，《文字の塔》五月の居室）


　ゴガツウサギ：ウルリッヒや，すこしこちらへおいで


黒猫：ナーゴ

（......）


黒猫：ナーゴ（なんだって？）

ゴガツ：だから，お兄様の部屋からDVDをひとつ持って来て頂戴と言っているの

黒猫：ナーゴ（ハッ，素直に見たいと言っておれば）

ゴガツ：それはできぬ．ウルリッヒや，私の願いを聞いてくれるの？

黒猫：ナーゴ（つまりそのDVDが欲しいんだな）

ゴガツ：ええ，欲しいわ

黒猫：ナーゴ（もっとドーラみたいに言ってくれ）

ゴガツ：......欲っし〜い！

黒猫：ナーゴ（ぷっ，似てないぞ）

ゴガツ：（ぶわああ＜赤面）し，仕方ないでしょう！　何言わせるのよッ！

黒猫：ナァーゴ（しかし，いくらニブい三月の旦那でも，さすがに開封されていたら気づいちまうんじゃ）

ゴガツ：その点は大丈夫．お兄様は一晩眠ればたいていのことは奇麗さっぱり忘れているわ．こっそり戻しておいて，ご自分で開封なさっていたじゃないですかとでも言っておけば，「そうだっけ」の一言ですむはずよ

黒猫：ナーゴ（いずれにせよ了解した，また後ほど...）


（ナレーター：V.シンガー）
五月の居室で行われた密室の談合，パリ支部に走る犯罪の匂い．
兄妹の信頼関係はどうなってしまうのか，
そしてラピュタのDVDの運命やいかに...！


（つづく）

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♥ 千年の時を越えて

　天野ゲルググ：ただいま戻りました...

　三月ウサギ：おー，おかえり．平安時代どうだったー


天野：はい，死ぬかと思いました

三月：存分にときめいてきたかい

天野：いえむしろ畏怖の対象だったような

三月：はっはっはー「高嶺の花」ってやつかー（すぱこーん☆）うごっ


　五月ウサギ：このノー天気野郎っ！　死にかけたって言ってるでしょ！

三月：そうか，すまない．鬼と間違われたんだったっけ

天野：はい，桃太郎の軍勢を退けること三度（みたび），最後は惜しまれつつ島を後にしました

五月：鬼についたのー！（がーん）

天野：サルが意外と強かったです

三月：そうかそうか，サルと目を合わせるとろくなことがないもんね


　ル・モンテズ：誰がサルやねーん！（がっしゃーん）


三月：伯爵，わざわざ窓を破って侵入しなくても．ここ最上階ですよ

モン：２時間前からスタンバっておったよ．寒かったよ

三月：相変わらず体はってますね

天野：あの，お土産があるのですが......

五月：えー！　なんだろう

天野：この箱，カメにもらったんです．できれば三月さんに開封を......

三月：いいのー？　開けたらおじいさんになったりしないかなー

五月：（怒ってる！　やっぱり天野ちゃん平安時代に置いてかれたこと怒ってたんだわ！　これは復讐よ！）

三月：じゃあ，あけまーす．せーの，どうりゃあああああ（ブンっ！）

モン：のわああああああああ！！（ボカーン！）

五月：なんて卑劣なの！　ヒモだけ解いて伯爵にぶつけるなんて！


（もくもくもくもく......）


モン：うああああ！　わしの髪の毛がなくなってしまった

三月：もとから無いですって

モン：それはそうと（オホン），こんなものが入っていたよ

三月：これは......，なにかの＜種＞ですか？

五月：まあ......，千年の時を越え，眠り続けていた平安時代の生命がここ現代に花を咲かせるなんて，すごくロマンチックじゃない？

三月：伯爵，何の植物かわかります？

天野：すこし私に見せてくださいますか

モン：金のなる木とかかがいいのう

三月：僕は美味そうな果物とかがなる木がいいです

五月：もー，なんて色気の無い．私は珍しくて奇麗なお花がいいな

天野：これは，たぶん......

五月：なんだったの？

天野：ヘチマだと思います

一同：エエー（............がっかり）


＜終＞

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♥ ＜天野の帰還＞

中日ドラゴンズ，53年ぶりの日本一ということで，
今ごろ名古屋駅前では，ナナちゃん人形もびっくりの
大騒ぎになっているのではないかと想像しています．
うれしいですね．


＊＊＊


＜天野の帰還＞


あいかわらず元ネタ誰もわかんないですよね．
ほんとはスヌーピーみたいなの描きたかった．
（ご愛読ありがとうございました）

♥ ＜都市伝説の女＞

　ゴガツウサギ：お兄様，粗茶ですが...

　三月ウサギ：おー，すまないね


ゴガツ：洗濯をなさったのですか

三月：今日は天気がよかったからねー

ゴガツ：パリの条例では外に洗濯物を干すのが禁じられていることくらい，ご存知のはずですが

三月：まあね，どーせ室内に干すから，あんまり天気とか関係ないんだけど

ゴガツ：フッ，相変わらずどこか足りていらっしゃらないようですね

三月：そーいや洗濯といえばさー，むかし学生時代に，下宿で洗濯機を回してたの忘れて，実家に帰省しちゃったことがあったよ．そのままひと月くらい空けちゃって

ゴガツ：聞くだに恐ろしい話ですが，どうなったのですか

三月：洗濯物がリアル・モスグリーンに...

ゴガツ：もう結構です，お兄様


＊＊＊


＜都市伝説の女＞


先週と同じオチですいません．